子供達。
閉店作業のゴミ出しが終わった。
残り15分。
かなり余裕があるなぁと思って店内を歩いていたら「屋上と1階の缶ペットボトルが溢れているので回収してほしい」と言われた。
幸いなことに降っていた雨は止んでいたのでルンルン気分で屋上へと向かった。
見ると確かに缶やペットボトルが溢れていた。
気分が良すぎて良すぎて独り言を喋りながら缶を拾う。
「あらあらあらあら……子供達が……」
子供達……?
ボクは今そう言ったのか?
すごいな。気分が良すぎて落ちてるゴミを子供達と呼び始めてしまった。
こんなこともあるもんだな。
などと考えながら袋を持ち上げた。
ストックがない。
本来ゴミ箱の底にあるはずの90ℓの袋が無いのである。
……そういうこともある。全然ある。あるあるすぎる。
とりあえず事務所まで戻って取ってくるしかない。
待ってろ、子供達よ。すぐに迎えに行くからな。
そう思いながらボクは店内を歩いた。
すると
客「」 ボク『 』
「すいません。」
『 はい。』
「ハケってどこにありますか?」
知らない。どこだろう。本当に管轄外の知らないエリアなのでわからない。
『 少々お待ちください。確認してまいります。』
担当の人を探さねば。
どこだ。どこだ。どこだ。どこだ。
レジを打っていた。
……すぐ終わるだろうし待つか。
この人以外に聞ける人はいないし。
…………………………
早く終わって早く終わって早く終わって早く終わって早く終わって早く終わって早く終わって。
終わった。聞いた。
『 すみません。お待たせ致しました。』
「あぁ、ごめんごめん。あったわw」
ワハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ウケる。時間の無駄。
残り5分だ。
さっさとやるか……待っててね子供達……
あれ……?
軍手片方無いね
ワハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
諦めた。
1階の回収も終わってないし、残業するハメになった。あんなに余裕あったんだけどな。
軍手片手無くなっちゃった。先週買い換えたばっかなんだけどな。
戻って袋の中のモノをジッと見た。
もう"子供達"には見えなかった。